エクステリア工事の契約前に注意しておくべき2つのポイント
こんにちは。1級エクステリアプランナーの井出です。
前回は業者との打ち合わせ時の注意点についてお話しさせていただきました。
簡単におさらいてみましょう。
- 1社で工事を決めず、2社3社と比較検討先を見つける
- 各社と顔を合わせてプラン・見積り内容を確認する
後悔と失敗のないエクステリア工事を叶えるためのスタートとして、これら2つのポイントが非常に重要ということでした。
そして今回は、契約時の注意点についてのお話です。
契約を交わす前にやっておくべきこと2つ
工事をお願いしたい業者が決まり、金額が確定したら契約書を交わすというのが通常の流れですが、契約書を交わす前に行っていただきたいことが2点あります。
- 実際の工事場所に立って、仕上がりのイメージを共有する
- 使用部材の商品についてすべての色決めを行う
1.実際の工事場所に立って、仕上がりのイメージを共有する
こちらは必ず行うことをお勧めします。
イメージ図をもとに机上のみで打合せを進めていくと、綺麗な外構図とパース図で期待も膨らみ、図面通りのものが出来上がると思い込みがちです。
しかし工事中のお困り事で弊社にご相談いただく内容として、
- 工事が進んでみたら、イメージ図と違った
- こんな仕上がりになるとは思っていなかった
こんなお悩みをよく耳にします。
このようなご相談に対して業者側に状況確認を行うと、「図面通りにやっている」「説明をして了承を得ている」という回答が多く返ってきます。
では、認識の違いが生まれてしまった原因は何なのでしょうか。
詳しくお話を聞いてみると…
やはり現場に行かず机上のみでの打ち合わせで契約書を交わしてしまったということがトラブル発生の一因であることがわかりました。
実際に現地に立って配置や高さの確認を行うと、机上での図面では見えてこなかった部分を知ることができます。
ちょっと具体的なアイテムを例に挙げて説明してみます。
◆目隠しのフェンスを希望された場合
図面上では『高さ1800mm幅4000mm』という記載があり、身長よりも高いフェンスだから目隠しになるだろう問題ないだろうと思ってOKを出します。しかし実際に現地で設置場所と仕上がりの高さを確認すると…
リビングに立ってみた時に、お隣さんや外を歩いている人と目線が合ってしまうことに気づいたり、幅をもう少し広げないとフェンスの脇からリビング内が見えてしまうなど、図面上だけでは想像できなかったことがたくさん出てきます。
◆カーポートを希望された場合
カーポートにおける現地確認の注意点は、窓のある建物に密接してカーポートを設置する場合、窓の開閉がカーポートに干渉しないかどうかの確認が必要です。
引き戸タイプであればよほど問題はないですが、開き戸の場合、屋根にあたってしまって窓が全開にならなかったというお話も聞きます。
干渉の可能性があるなら、車高に合わせて選ぼうとしていたカーポートの屋根の高さを調整するか、窓を全開に開けた状態までカーポートの距離を離すか。こちらも現地で検証すべきですね。
◆駐車場の傾斜について
駐車場の地面をコンクリートなどで施工する場合も、傾斜がどのくらいになるのか図面上では把握しにくいポイントです。
前の道路と敷地の高低差は決まっていますので、あとは駐車場のスペースに応じて停めやすい傾斜角度であることが大切です。
業者のほうもこれまでの経験から、停めやすさを考慮した計画をしてくれていますが、人によって停めやすい傾斜は結構変わってきます。
現地でコンクリートの仕上がり高さのイメージを糸を張って示してもらい、その傾斜がご自身にとって急すぎないか検証し、アドバイスをもらいましょう。
もし「少し急だな…」ということになれば、施工前なので計画変更はまだ間に合います。
しかしいざ工事が始まってコンクリートの型が入った状態で「あれっ?こんなに急なの?!」と気付いても、やり直しに追加費用が発生したり、工期の遅延にも繋がってしまいます。
◆その他の注意点
外構図面上に反映されていないものとして、お隣りさんとの建物配置や間取りなどがあります。
先ほどもお話したようにお隣りさんとの間に目隠しフェンスを希望する場合は、間取りを把握し、より効果的な配置と高さを選ばれることが重要です。
また、現地で実際の太陽の射し込み角度を知ることで、お隣りさんに日陰を作ってしまわないかの配慮にもつながります。
2.使用部材の商品について色決めを行う
『色決め』と具体的にお伝えしましたが、つまり、契約書を交わす前に使用部材の商品をすべて決めておきましょうという意味です。
業者からの「まず先に契約書を交わして、タイルやフェンスの色味などは工事を進めながら決めていきましょう」という持ちかけに応じ、結局それがトラブルに発展してしまったなんてお話をよく聞きます。
工事を進めながら決めていくということは、工事を一旦止めて別途打ち合わせの時間を取ったり、「どっちにしようかな~ちょっと主人にも相談したいのでまた来週お返事します」というような検討の時間や、商品が届くまで待つ時間が加わることになります。
するとどんどん工期が延びていくことに。
また、業者も一度工事を止めるとその間に別の現場に行ってしまい、商品決定後もなかなか戻って工事を進めてくれないということなんかもあります。
このようなトラブルにならないためにも、先ほどお話した現地での打ち合わせ時に商品の色決め・選定もすべて行い、契約書を交わす時点で『あとは工事の着工と完工を待つのみ』の状態にしておくことが望ましいですね。
現地での色決めには商品のカラーサンプル持参を業者にお願いしておき、建物外壁とのバランスも見ながら決めていくのがオススメです。
エクステリア工事の契約前にすべきこと・まとめ
業者の中には、契約を取りたいがために一緒に現地にも赴かずに「まず先に契約をして、詳細は工事の進捗と同時に進めていきましょう」という提案をする業者もいます。
そういう業者がみんな悪い業者というわけではありませんが、のちのトラブルに繋がる種ではあります。
「こんな仕上がりになるなんて聞いてない」
「説明しました」
なんていう水掛け論は精神的にも消耗しますし、
「このタイルがいいです」
「これだと取り寄せに1週間かかります」
という想定外の事態にも。前もって決まっていれば商品到着まで工事を止める事態は避けられますよね。
エクステリア工事は大きな買い物ですから、普通の買い物よりも何倍も慎重に進めていくことが大切です。契約を交わして工事が進んでしまう前に、すべて納得した状態で契約書を交わすことをお勧めします。
紙面のみで決断したり、未決定事項をたくさん残したまま契約してしまわないよう、気を付けましょうね。
次回は契約書についての注意点をお話します。