エクステリア工事計画の注意点~ブロック工事~
こんにちは。1級エクステリアプランナーの井出です。
前回まで6回にわたり、エクステリアのご検討段階から工事完成後までの注意点をお話ししてきました。
今回からは、皆さまがエクステリア工事を計画するにあたり、少しでも業者との打合せがスムーズに進められるよう、具体的な注意点をお伝えしていきたいと思います。
「初めて家を建てるから、気を付けるべきことすら分からない…」
というのは、ほとんどの皆さんが同じです。
でも、その状態のままで工事が進んでしまうと、場合によっては手遅れになってしまうこともあります。
今回からのシリーズは、「初めての買い物」であるエクステリア工事でも、よりスムーズに無駄のない工事が進められるよう、ひとつひとつ具体的に注意点を挙げていきたいと思います。
まずは、「ブロック工事について」です。
エクステリア工事の基本【ブロック工事】とは
エクステリア工事を経験したことがない方だと、
「ブロック工事って何…?」
と思われますよね。まず簡単にご説明しますね。
ブロック工事の目的には、主に以下の2点があります。
- 隣地との境界を明確にするために積む
- 庭と駐車場との間に高低差があるために積む
ブロック工事は、高低差のある土地の高い側の土地の土が流れ出ないように留めておくためでもあり、土留(どどめ)工事ともいいます。
今回は上記の2つのうちでも特に注意点が多い、
- 隣地との境界を明確にするために積む
についてお話ししていきます。
エクステリアのブロック工事【注意点】
よくニュースで、お隣同士の境界線を越えた、越えないで事件に発展しているのを見かけますね。それほど、お隣との境界線というのは非常にナーバスな問題です。
あとになってこのように大きな揉め事に発展しないよう、新築工事のうちにしっかりとお隣さんと境界線を確認しておくことが非常に重要です。
また、建築前にブロック工事についてある程度の知識があれば余計な費用の捻出などを抑えることにも繋がります。
隣家との境に境界を示す印があるか
境界線沿いにブロックを積む場合、敷地の角に境界を示す杭やプレートがあるかどうか、まず確認してください。上の画像のようなものや、他にも地域によっていろいろな形状・色があり、長方形の土地であれば4隅にあります。
基本的には、新築工事を行うハウスメーカーで建築前に確認してくれます。万が一境界を示すものがなかった場合は、隣地の方に立ち会っていただいての確認が必要となります。
そこで「境界線はここですね」というお話し合いがまとまれば、双方が認識したということで境界と決めていただいてもよいのですが、口頭での確認はのちにお子様の代、お孫さんの代、と代が変わってからトラブルに発展してしまうケースもあります。
新築時にせっかく隣家の方と一緒に境界線を確認したのに、そうなってしまっては意味がなくなってしまいます。このようなことがないよう、境界線を明確にするときには土地家屋調査士に依頼し、土地境界確定測量を行うことをおすすめします。
その境界線に従って杭やプレートを打ち込み、そこを基準にブロック工事を行いましょう。
ブロックを積む位置
境界線が明確になったら、境界線に沿って置くブロックはどのあたりの位置に積むのが良いのでしょうか。
「ブロックを境界線のどの位置に置くべき?境界線ギリギリでいいの?」
その答えは、「境界線から3cm~5cm離して置くのが一般的」です。
杭には様々な形状がありますが、四角柱のものが刺さっている場合は四角柱の中心が境界線ですので、下の図のように杭の面に合わせてブロックを積むと丁度良くなります。
境界線から数センチ離す理由は、境界線を越えてしまう「越境」を防ぐための措置です。
化粧ブロックなどの凹凸のあるブロックを積む場合や、塗装をしたりタイルを貼ったりすることも考えると、この数センチの控えは取っておきたいものです。
たった1cmや2cmの越境…とこちらは思っていても、越境された側というのはやはり気になるものです。
昔に比べて今は減っていますが、お隣さんと費用を折半して下の図のように境界線の中心にブロックを積むこともあります。
これは、お互いの敷地内にそれぞれがブロックを積む費用やスペースを省くためです。しかし、共有の物というのは破損による修繕費用なども折半になってきますし、お隣さんが建物を解体することになりブロック塀を撤去する場合にも費用の折半を求められる場合があります。共有のブロック塀を設置する場合はその点もしっかり話し合い、書面に残しておきましょう。
ブロック塀を設置する位置に関しては、越境しない限りは法律による定めはないので、隣地の方との関係性の中でブロックを積む位置を考えられてもよろしいかと思います。
ブロックを積むタイミング
土地を囲うブロック塀を設置するタイミングは、できればお住まいが建つ前に行うことをおすすめします。
家が完成した後ですと、土を掘るための重機が入れなくなってしまうことも多く、そうなると作業は手掘りとなります。手掘りは、現場状況や掘る範囲によっては重機使用以上に費用負担が大きくなることがあります。
また、本格的な建築が始まる前に土留ブロックを積んでおくことで、土が隣地に流れず安全な建築工事が行えるという面もあります。
隣地への事前伝達
隣地との境界線沿いのブロック工事を行う場合は、隣地の方へは事前に工事の概要をお伝えしておきましょう。
それは、ブロックを積むための基礎工事の際にお隣の敷地を少し掘らせていただく場合があるからです。
どのくらいの範囲で隣地の土地に影響があるか、まず業者へ確認を行ってください。そして業者と共にお隣さんへ説明に伺って協力をお願いしておくと工事開始後のトラブルを回避できます。
当然、工事が終わればお隣さんの土地はきちんと現状復旧を行いますので、安心していただくよう説明をしておきましょう。
ブロック工事の際にフェンスのタイプも決めておく
上の画像のように、ブロック上にフェンスを設置する場合は、ブロック工事を行う前にフェンスのタイプを決めておきましょう。
ご希望のフェンスの高さや形状により、フェンスを建てる柱の太さ・間隔などが異なるため、ブロック工事の段階で必要な情報となります。
もしブロック工事が終わってから予定していたフェンスと種類が変わってしまった場合、追加でコア抜きという作業費用が発生してしまいます。
フェンスの距離が長ければ長いほど柱の本数も増え、コア抜き費用も何カ所でいくらといった金額となっていきます。
ブロック工事をするタイミングは住宅建築前がいいと先述しましたが、その場合は『ブロック工事→住宅建築→フェンス設置』の順番で工事が進むため、フェンスの設置は住宅が建ったあとになります。
「フェンスは住まいの工事が進んでから考えればいいや」
と先延ばしにしておくと、選んだフェンスの種類によってはコア抜き作業費が発生してしまう場合がありますので、フェンスのタイプは先にある程度決めておくことをおすすめします。
エクステリアのブロック工事 注意点まとめ
いろいろとご紹介してきたように、ブロック工事1つをとっても実は多くの注意点があります。
もっと細かなところまで気にかければ他にも注意点はありますが、まずはこの5つの注意点を参考に業者とお話を進めていただければと思います。
自分の土地を囲ったり区切ったりするだけの単純な工事かと思いきや、ここでつまづいてしまうとそれによって余分な費用がかかってしまったり、お隣さんともいらぬわだかまりを生んでしまうことにもなります。
ブロック工事以外のエクステリア工事においても、事前に知識を入れておくことで回避できるトラブルはたくさんありますので、ひとつずつご紹介していきたいと思います。
次回は、ここでも登場しましたフェンスについて、もっと掘り下げたお話をしていきます。