エクステリア工事計画の注意点~アプローチ工事~
こんにちは。1級エクステリアプランナーの井出です。
今回はアプローチ工事の注意点についてお話したいと思います。
まずアプローチとは、道路と住宅を結ぶ通路部分を指す言葉として使われています。
ご家族はもちろん、来客時はここを通ってお客様が玄関までいらっしゃいますし、お住まいの美観を左右する重要な箇所になります。
住宅に洋風、和風、シンプルモダン、和モダンなどがあるように、アプローチも住宅のタイプに合わせて使う素材やデザインが異なり、お住まいに合ったデザインのアプローチを作れば、一段とオシャレな外観になります。
『くらそうねエクステリア』内のエクステリアQ&Aでもアプローチに関する説明をしていますので、よろしければそちらもご覧ください。
アプローチの舗装方法6種
アプローチに使われる舗装方法は大きく分けて6種類あります。ご希望のデザインやご予算に合わせて選んでいきましょう。
コンクリート
他の種類に比べて低コストで、シンプルにされたい方にはおすすめです。しかし駐車場部分もコンクリート舗装で行う場合、アプローチ部分としての独立感はあまり出ません。
同じコンクリートでも、グレードとコストは上がりますがスタンプコンクリートやカラーコンクリートは通常のコンクリートに表面の凹凸や色が加わる工法で変化を感じられますので、業者さんに相談してみてもいいでしょう。
洗い出しコンクリート
洗い出しコンクリートは、コンクリートに含まれている骨材となる砂利を表面に洗い出す方法と、下地となるコンクリートの上に砂利とモルタルを混ぜたものを塗ってから洗い出す方法があります。後者の方が表面の仕上がりは綺麗です。
洗い出しコンクリートの縁にはレンガなどを配置してメリハリをつけると砂利が崩れにくくなってオシャレな感じに仕上がります。
樹脂舗装
砂利を接着剤と混ぜて、下地となるコンクリートの上に塗る方法です。
砂利が表面に出ている状態は洗い出しコンクリートとよく似た仕上がりですが、洗い出しに比べて砂利がしっかり密着しているので、砂利本来の色合いがしっかり出ます。
洗い出し同様、縁などにレンガを配置することで角部分の砂利が取れにくくなったり、デザイン性が出てオシャレになります。
天然石の石貼り
石の形状は正方形、長方形、乱形とあり、いろいろな石の種類があるので和洋問わず素敵な仕上がりになります。ただし天然石のため、他の素材に比てコストは高くなります。
レンガインターロッキング
レンガを全体的に敷き詰めた方法。本物の焼いたレンガを使用するとレンガ本来の焼きムラが表情を作り出し、味があって素敵に仕上がります。
コンクリート製平板
天然石同様、正方形、長方形、乱形またコンクリート製レンガなどがあります。天然石や耐火性レンガに比べてコストは安いので、限られた予算内でデザインを上手に駆使してオシャレに見せることができます。アプローチの途中に隙間となる目地を入れ、植物のタマリュウや芝生、砂利やレンガなどをアクセントとして入れるだけでも表情に変化が出て素敵ですよ。
アプローチに必要な幅
では、人が通ることを目的としたアプローチはどれくらいの幅を確保しておけばいいのでしょうか。
以下、アプローチに必要と言われている一般的な寸法です。
- 一人で歩く→70cm
- 子供を連れて歩く→120cm
- 傘をさして歩く→120cm
- 自転車を押して歩く→90cm
- 杖をついて歩く→120cm
- 車いすで移動→85cm
上記はあくまでも必要と思われる寸法のため、家族構成の変化や状況に応じて寸法を考えてみましょう。
アプローチ以外の駐車場や駐輪場、門柱などとの関係にもよりますが、120cm~150cmの寸法が確保できると、ゆとりある使いやすいアプローチ計画と言えます。
アプローチ工事計画における注意点
施工してしまうとなかなかやり直しのきかないアプローチ。美観と機能面の両方で満足いく工事になるよう、施工前にしっかり業者さんと打ち合わせをしましょう。
その際に特に気を付けるべき点を挙げてみます。
長さに応じて形状を考える
距離が長いアプローチは直線では単調となるため、曲線にするかクランクさせる、また舗装材を組み合わせることで変化をもたらせるなど工夫が必要です。
逆に、道路との距離が近い場合は、玄関のポーチ幅に合わせてアプローチの幅を合わせてしまうなど、寸法にとらわれないことで動きのあるデザインになります。
滑りにくい素材を選ぶこと
特に天然石は滑り止め加工がしっかりされているわけではないので、滑りにくさを考慮して選びましょう。雨に濡れて滑りやすくなる素材もありますので、サンプルを見せてもらうなどして確認することをおすすめします。
樹脂舗装を選んだ際は、ノンスリップ加工をしておいたほうがいいでしょう。
アプローチ付近に配置するシンボルツリー選び
エクステリアに植物を取り入れると四季を感じられたり、爽やかな印象になっておすすめですが、アプローチ付近に実がなる木を配置すると、それがアプローチに落ちて汚れの原因になったりします。
また、落葉樹を植えると雨の日などは濡れた落ち葉がアプローチに溜まって滑りやすくなりますし、日々の掃除も大変なのでアプローチ付近には不向きと言えます。
アプローチ付近の植栽選びはそれらもしっかり考慮して計画しましょう。
ライティング計画も重要
距離が長いアプローチは途中で足元を照らすライトを配置するなど、夜の歩きやすさも考える必要があります。ご近所の迷惑にならない程度の明るさで、かつライトアップにもなるオシャレなライティング計画もしっかり考えておきましょう。
アプローチはお住まいで絶対不可欠なエクステリアというわけでもありませんが、たとえ短い距離でもアプローチの動線があるとグッとオシャレな雰囲気にグレードアップします。
上手にデザイン性を取り入れればご予算内で素敵なアプローチを設置することができますので、ぜひ業者さんに一度相談してみてくださいね。
次回は階段についてお話しします。