エクステリア工事の契約書に関するチェックポイント
明けましておめでとうございます。1級エクステリアプランナーの井出です。
今年もたくさんのお客様とご縁が持てること、とても楽しみです。
「大満足の工事ができた!」という喜びのお声が聞けるように、各方面からの良質なサービスをご提供していきたいと思います!
さて、前回は契約前の注意点についてお話しさせていただきました。
まずはその内容を簡単におさらいしたいと思います。
- 業者と共に実際の工事場所に立ってみて、仕上がりのイメージを共有する
- 使用部材の商品について、ほぼすべての色決め(素材決め)を行っておく
契約書を交わす前に、上記2点についてしっかりと確認を行ってください。
そのあとで契約書の取り交わしに進んでいただくことが理想です。
そして今回は、契約書を交わす際の注意点についてお話ししてみたいと思います。
工事の契約書というのは業者との約束を示す記録
エクステリア工事という買い物は、普通の買い物と違って完成品を見てから購入するわけではありません。購入してから「返品したい」「交換したい」ということができない買い物、というわけですね。工事のやり直しができないわけではありませんが、気軽にやり直しができる金額ではありません。つまり、それだけ購入前と購入時に慎重になっておくべき買い物なんです。
それでも、工事の中では思いもよらない事態に発展してしまうことがあります。契約書というのは、事前取り決めを交わすことで後のトラブル回避につながる重要な記録。よく読まずにハンコをついてしまうことのないよう、面倒でも内容をしっかり確認しましょう。
主に契約書へ記載されている一般的な記載項目は以下になります。
- 依頼者氏名(お客様)
- 請負者氏名(業者)
- 工事場所住所
- 請負代金
- 工事期間
- 支払い方法
- 承認サイン欄(お客様)
- 約款
記載項目が多いことは約束事が多いということで安心感につながりますが、項目の意味を理解していないと業者との認識の相違が生まれ、トラブルの元に。
業者と一緒にひとつひとつじっくり確認し、意味の分からない部分は納得できるまで何度でも説明してもらいましょう。
契約書の中での注意点
では、記載項目の中でいくつか注意点をお話したいと思います。
工事期間
一般的には、お客様のほうで希望された工事期間が記載されていますが、中には例外もあったりします。
たとえば…
- 契約の日から工事開始まで期間がある
- 工期未記載
- 仮の日程として、希望より長めに記載されている
「えっ?!」と思われるかもしれませんが、業者としても他のお客様の現場との兼ね合いなどもあり、希望の工事開始日と工事完了日を無理に求めても契約書の意味をなさないものとなってしまうため、契約時は現状に準じた工期で了承をすることもひとつです。
しかし、工期の遅延や現場の中断というのもよくあるトラブルですので、できれば正規の工期記載を業者に求めることをおすすめします。
工期遅延に対する注意点はあとでご説明しますね。
支払い方法
工事は基本的に銀行振込となります。
しかし、支払うタイミングが業者によって異なるため、事前確認が必要です。
たとえば…
- 契約時に契約金額の半金払い、完成後残金払い
- 契約時・中間金・完成後と3回に分かれる
完成後一括払いであれば仕上がりを確認してからの支払いとなるため、手直しの対応を待ってから支払いをするなど安心感につながるので、できるならそれが望ましいでしょう。
しかし、材料の仕入れなど、工事代金を運転資金にまわすこともあるため、事前の支払いがないと工事を請けられないという業者もいます。
「ボーナスが出てから一括で払おう」と思って支払い条件を確認せずに契約をし、いざ打ち合わせを進めてみると半金払いだったことが判明、ボーナスが出るまで数か月工事を遅らせた…なんてこともありますので、支払い方法については打ち合わせ段階から確認しておくことをおすすめします。
約款
約款とは、工事中や完成後の判断方法についての取り決めが文書化された項目です。
主な項目は以下になります。
- 追加費用について
- 工事遅延について
- 仕上がりなどの不具合について
◆追加費用について
工事中のトラブルで多くのご相談をいただいているのが追加費用についてです。
捻出できるご予算の中で工事を依頼したわけですから、なるべく追加費用が発生せず工事完了に向かいたいものですが、事前の確認で把握することができず、工事が進んでから発覚する事態が出てくることもあります。
どういった場合に追加費用が発生するかは業者の判断によるものもあるため、事前に「追加費用が発生する場合は?」と確認しておくことをおすすめします。
◆工事遅延について
正規の工期の記載がもしなかった場合には、契約書にしっかり記載してもらうことを先述しました。
しかし、数件のお客様の工事をかけ持ちで行っている業者もあり、希望の工期が通らないケースも。
完成時期厳守といったご事情がなければ、工事が進む中で進捗を確認し、双方納得のもとで遅延に対しても了承いただければよいのですが、完工予定より1ヶ月以上も工事が長引いている、または工事に入らない日が数日続いていて完成の時期がわからないなどトラブルに発展することも想定されます。
そのようなトラブルを避けるためには、やはり工期を明確にし、どのような場合が不可抗力の遅延となるのか、また業者都合に対して遅延が発生した場合の対処方法について遅延損害金として工事代金からの相殺があるのか?などの事前確認をしておくことが大切です。
◆仕上がりなどの不具合について
仕上がりの見た目は人により判断基準が異なります。
業者側が「問題なく完成した!」と思っていても、お客様のほうは「もっと綺麗に仕上げてほしい」と判断する可能性があるということですね。
やり直しにかかる時間やコストを考えると、このままで了承いただきたいと思うのが業者側の当然の考えでもあります。
そのようなトラブルを防ぐためには、不具合が起こる可能性を先に聞いておくことと、お客様の施工内容に応じた仕上がり例などを写真などで具体的に提示してもらうといいでしょう。
エクステリア工事における契約時の注意点まとめ
できるかぎりトラブルが起こらないように、両者で工事内容の確認をして記録に残しておく、というのが契約書の意義です。
せっかく打ち合わせ段階で業者と良好な関係が築け、信用して工事を依頼したのであまり工事前から細かいことを言って「うるさい客だな…」と思われて関係を悪くしたくない、というお気持ちもあると思います。
しかし、「きっと大丈夫だろう」と信用して細かなことを決めずにお任せしてしまうと、蓋を開けてみたら共通認識が取れていないものが多く見つかり、ついにトラブルに発展してしまった…というのが、実際に工事をされたお客様から多く挙がってきているご相談です。
契約書は万が一トラブルが発展して第三者を通しての訴訟などになってしまった場合の大切な証拠となりますが、中には少額工事ということで契約書を軽視して交わさないという業者もいます。
お互いがお互いを守るためにも、必ず契約書を交わした上で工事を始めていただき、完成後に「この業者さんに工事をお願いして良かった」と思っていただくことを切に願います。
次回は工事中における注意点についてお話しをしてみたいと思います。